高血圧、脂質異常症、糖尿病などが心血管イベントの原因となることは以前から注目されています。最近これらの疾患から心血管イベントを生じる過程で、慢性腎臓病(CKD)を合併する例が多いことがわかってきました。腎機能の評価には、血清クレアチニン値を用いますが、尿タンパクも重要な所見であり、特に尿試験紙で検出できない微量な尿中のアルブミン(微量アルブミン尿)が大切であるといわれています。微量アルブミンが認められると、心血管イベントのリスクが3倍になるといわれていますが、本検査は糖尿病性腎症の疑いの患者様にしか保険適応が認められていないため、臨床の現場ではほとんど施行されていません。当クリニックでは高血圧患者様すべてに微量アルブミン検出用の試験紙(クリニテック:シーメンス社)を用いて、スクリーニング検査を行っています。その結果、高血圧患者様の30%以上に、糖尿病合併高血圧患者様の50%以上に微量アルブミンが検出されました。想像異常に高頻度でした。これらの患者様はハイリスクですので、さらに厳重な血圧管理を行っています。本検査はとても重要な検査ですので、早く保険で適応が収載されることを願っています。